このところ、物品の購入も、アプリの利用も、銀行の取引も、テレワークも、何でもオンラインで進めようという流れが急速に進展しています。
それらのサービスは便利なのですが、それぞれログインするには、「アカウント」を設け、パスワードを設定することになり、これらが増えてくると混乱しませんか?アカウントの管理もけっこう厄介ですね。
さてこの「アカウント(account)」が今日のテーマです。オンラインのログインの場面では、それらのサービスを使用する「権利」といった意味で使われますが、基本的にはどのような意味なのでしょうか。
響きからわかるように「数える」の count に(ac:~へ)という接頭辞がついたもので「数え入れる」が原義です。しかし、使われる意味に幅があるので、注意が必要です。ビジネスでも幾つかの重要な意味で使われますし、TOEICの試験でも、間違いが起こりやすい言葉です。
account はお金を「数え入れる」ことから、銀行などの「口座」を表わすことは広く知られていますね。「口座」という意味は大事なのですが、「預金口座」だけではないのです。
accounting は「商売の数字を数える事」から「会計」の意味になります。accountant は会計士、あるいは会計担当者を示します。公認会計士は certified public accountant で同義の米国の資格、CPAが有名ですね。税理士は tax accountant です。
TOEICの問題に出てくる手紙やEメールで、肩書に Account Manager がよく見られます。生徒さんは accounting と混同して会計担当のマネージャー(課長など)ととる人が多いのですが、実際は違っていて、「顧客担当マネージャー」を意味します。
なぜでしょうか。それは会社は顧客と取引をする時、取引口座を設けるので、取引口座 account が イコール顧客となったわけです。広告代理店の方の名詞には Account Executive という肩書が見受けられますが、この Account もクライアント(顧客)のことですね。
account には「数えられる割合」を示す意味もあり、This product accounts for 50% of the company's sales. 「この製品は会社の売り上げの50%を占める。」というように使われます。
この意味から、account は「説明(する)」「釈明(する)」「責任(をとる)」という意味に発展します。最近、日本語でも「説明責任を果たすことが重要だ」という表現がよく使われますが、この「説明責任」は英語では、accountability です
それで、熟語 on account of --- は「~が理由で、~のせいで」となるわけです。
「数える」ということは、お金であれ、顧客であれ、責任であれ、重要なものを「把握する・押さえる」ということの基本なのですね。